従業員を雇い入れた際の手続きについて流れをまとめてみました。

雇用契約書の締結と労働条件通知書の交付

従業員を雇用する際には、その従業員にどのような形で働いてもらうのかを決める必要があります。
どのような業務についてもらうか業務内容を考えるのも大事なところですが、その前に「雇用契約」を結び、労働条件を決めたり、社会保険の加入手続きを行なったりと様々な手続きが必要となります。

従業員の雇用形態は、契約期間があるのか、就業の場所はどこなのか、従事していただく職務の内容、労働時間、休日、社会保険の有無など、多岐に及びます。

これらの事項は、「労働条件通知書」として労働者に交付することが義務があります(労働基準法第15条)。

給与の決定

賃金の支払い方の方式として、時間給制、月給制、日給制、出来高払い制など、何に基づいて給与計算を行うのか決めることも重要となります。

支払われる賃金については、地域別の最低賃金を下回らないように決める必要があります。

最低賃金は、時給で決められているため、時給制の場合はその金額が最低賃金を下回っていないか確認すれば良いですが、月給制の場合は、「月給÷1か月平均所定労働時間」で時給換算して最低金銀を下回っていないかどうか計算する必要があります。

地域別最低賃金を下回る契約をすると、法律違反となり、50万円以下の罰金が科される可能性があります。(最低賃金法第40条)

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、給与を受けている方が所得税の控除を受けるときに必要な書類です。就職後最初の給与の支払を受ける日の前日までに労働者に提出してもらう必要があります。

また、合わせて「住民票(マイナンバー入り)」を提出してもらい、これらの書類で住所及び扶養の有無の確認を行い、会社で定めている扶養手当や通勤手当の算出に利用します。

職種や職務・職歴に基づいた基本給や各種手当については、就業規則や賃金規程などで規定しておき、公平性や透明性を確保します。
また、これらをきちんと規定して周知しておくことで、各種助成金(キャリアップ助成金や業務改善助成金)の申請をスムーズに行えることにつながります。

雇用保険の加入要件を確認する

雇用保険に加入するための主な要件は、以下の通りです。

  1. 雇用期間の見込み:31日以上継続して雇用される見込みがあること
  2. 労働時間:1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  3. 学生でないこと:原則として学生は対象外となります

これらの条件を満たす労働者について、雇用保険の「被保険者資格取得届」をハローワークに提出する義務があります。

初めて従業員を雇用する場合は、労働基準監督署で労働保険の「保険関係成立届」とハローワークで「雇用保険適用事業所設置届」を提出する必要があります。

なお、労災保険は、雇用形態に関わらず加入が必要となります。

社会保険の加入要件を確認する

社会保険に加入するための主な要件は、以下の通りです。

事業所要件

  1. 法人事業所:従業員が1人以上いる場合
  2. 個人事業所:常時5人以上の従業員を雇用している場合(ただし、農業・漁業・サービス業など一部業種は除外)

従業員要件

  1. フルタイム従業員:原則として社会保険に加入義務があります
  2. パートタイム・アルバイト
    1. 週の所定労働時間が20時間以上であること
    2. 月額賃金が8.8万円以上であること
    3. 2ヶ月を超えて雇用される見込みがあること
    4. 学生でないこと(定時制・通信制の学生は対象になる場合あり)

なお、2024年10月から、従業員数51人以上の企業で働くパート・アルバイトも社会保険の適用対象となりました。

これらの従業員を雇用するに至った場合は、5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を年金事務所(健康保険組合に加入しているの場合は健康保険組合)に提出する必要があります。

また、扶養する家族がいる場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」や「国民年金第3号被保険者関係届」も合わせて提出が必要とります。

初めて社会保険に加入する際には、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」や保険料口座振替納付申出書、法人登記事項証明書(個人の場合は、住民票や公租公課の領収書)が必要となります。

いかがでしたでしょうか。

従業員の雇用は、事業拡大の第一歩です。

しかし、雇入れに際しては、様々な手続きや規程の整備が必要となります。

これらの手続きを迅速かつ正確にお手伝いできる専門家として社会保険労務士をご活用いただければと思います。

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土川知輝

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